証券会社が大事にする顧客~相手にされない顧客がでてしまう理由

初めて証券会社に行ったら受付の人や出てきた営業員から相手にされなかった、敷居が高かったけど勇気を出して入ったのにそっけない態度を取られた、という話をよく聞きます。

近年ネット証券に顧客シェアを大きく奪われてきているので、お客様の資産規模に関わらず取り込んでいく姿勢に改善されてきています。

では証券会社が優先して大事にする顧客とはどういう人で、後回しにされ相手にされなくなってしまう顧客はどういう特徴を持っているのか。

この違いを書いていきます。

預かり資産の大きさ、準主力客層に該当、取引頻度、で判断する

まず預かり資産額が多い顧客にアプローチする

証券会社への預かり資産額(株や国債などの債券、投資信託、MRF残高などの資産残高)が多い顧客は、もし取引して頂けることに至った場合、一度に導入して頂く金額が大きいので、営業員へ入ってくる手数料が大きいので好まれます。

新しい割り当てや、証券マン自身がお勧めする投資信託や債券があれば、まず最初にアプローチするのが預かり資産の多い顧客です。

金額的には大体1億円以上の預かり資産があれば富裕層の上客として扱われ、年末年始や季節の節目に支店長が挨拶にいくこともあり、それ程大事にされているということです。

ただ預かり資産が日本国債のみで1億円以上保有していて、その他のリスク商品には全く興味がないというお客様もいるので、金額だけで判断できないということもポイントです。

このような預かり資産が多い富裕層のお客様は、他の証券会社や銀行も当然狙っているので競争が激しく、顧客側も証券会社に対する対応に慣れていたりするので、非常に繊細な対応が求められます。

ただこのような富裕層のお客様から新しいお客様を紹介を頂けると、紹介されたお客様も富裕層の場合が多く、取引の幅が広がるということもあり、重要顧客であることは間違いありません。

このような理由で預かり資産が多いお客様は重宝され、少ないお客様は後回しにされ相手にされなくなってしまうということになります。

準主力顧客が一番重宝される

準主力客は営業員の抱えている預かり資産額の合計によって変わってきますが、大体500万円から5000万円位の預かり資産額をイメージした顧客層です。

預かり資産が1000万円足らずで普段はあまり連絡も取引も少ないけど、たまに連絡するとお客様の気分によっては買ってくれる、というお客様がいます。

金額は多いときで300万円分ぐらい、場合によってはもっと小さい金額でも買ってくれる場合があるというお客様です。

こういう顧客は、証券マンにとって主力客から準主力客の位置づけで、月の割り当てに行き詰まった苦しい時に連絡すると、まさかの1本の約定で助けてもらえるということがあります。

このような準主力客は、預かり資産や取引が少ないから相手にされないということはなく、むしろ重宝されるお客様になるのです。

個人的にはこの準主力客にあたるお客様層を増やすことで、まさかの1本が見込まれる可能性を高めて、約定件数を増やすことができるか、また主力客に格上げできるかが重要だと感じています。

頻繁に取引をする顧客

上述のような大きな預かり資産額ではなく、100万円くらいの規模であっても、2~3日に一度ぐらいの割合で頻繁に100万円分くらいの株取引をしてくれる顧客も大事にされます。

最近ではこういう顧客はかなり少なくなってきましたが、こちらから勧めなくてもお客様から連絡が来て注文を入れてくれる、証券会社にとってはとてもありがたい存在です。

ただこういうお客様は、投資信託や外債などを勧めても、興味がない商品は全く買ってくれないという特徴があります。

連絡頻度が多いだけの顧客でも印象は良い

証券会社から休眠状態と思われた顧客に連絡を入れる事はあまりありません。

担当営業員は休眠状態のお客様から突然に連絡が入ると、心躍る瞬間で思いがけないラッキーな注文が入るんではないかと考えを巡らせます。

そして取引頻度が少ないお客様であっても、担当宛に連絡が入ってくることは万が一の期待があり嬉しいものです。

そして気になる商品を購入する頻度を増やすと、営業員から休眠顧客という認識から次第にお得意のお客さんという認識に変わってきます。

あまり大きな金額の購入ではなくても、たまに連絡が入ってたまに買ってくれるお客さんと認識されると、証券会社側からも相手にされるようになります。

顧客をランク付けしているという話は事実

証券会社の営業マンは顧客にランク付けしてる、なんていう話をよく聞きますが実際はあります。

一人の証券マンが担当している顧客数は、会社規模や地域性により変わってきますが200~400名位は抱えていて、その中でも、株や投資信託などを買った後に、ただ預けているだけの人(休眠顧客)の割合は8割以上を占めています。

この8割の休眠顧客の中には、実は連絡を待っているけど自分は相手にされていないと感じている顧客もいるかもしれません。

担当営業員は顧客カードと言われるお客様一人ひとりの住所や年齢、職業などの属性や特徴を記した紙媒体のカードを保有しています。

その中から、取引頻度の多いお客さんや多くの手数料を見込まれるお客さんへの優先度合いが高くなるので、営業員が顧客をランク付けしている、という話は事実としてあることです。

割り当て達成のための忙しさが相手にされない顧客を生む

厳密には営業員は休眠顧客を相手にしないのではなく、忙しさのために手が回らないというのが実情です。

日々の割り当てられた手数料をクリアするために、上客や普段よく取引して頂いてるお客様と接しているだけで1日のスケジュールがいっぱいになります。

その上、証券会社や銀行等での金融商品の販売時には多くの時間が必要になります。

具体的には、同じ投資信託や債券を買う場合に、10万円のお金を投資する人と1000万円のお金を投資する人では、手続きに掛ける時間はほとんど変わりません。

お客様からの入金確認が取れた後に、リスク事項の説明と理解度の確認、そしてその確認書面に印をもらい、ようやく発注という流れになります。

特に初回取引の場合には、口座開設の申込書への記入手続きなどに加えて、理解度の確認をより慎重に進めなくてはなりません。

金融商品は手軽に購入できるものではないことと、この認知が一般的に知られていないということが、お客様に相手にされなかったと不快に思われてしまう理由です。

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