コンテンツ
奨学金免除申請の前に、2年間の返還期限猶予期間を経なければならない
日本学生支援機構の奨学金免除の審査に合格するためには、返還期限猶予を申請し審査に合格して、少なくとも2年の返還猶予期間を経なければならない。
いきなり奨学金免除申請を出しても審査は通らないそうだ。
精神障害者保健福祉手帳3級は免除審査の対象にならず、2級を1回更新して一部免除の可能性が高くなり、1級であれば8割方全額免除となるそうだ。
奨学金免除の申請までの手順
返還期限猶予を申請する→1年後、返還期限猶予を更新する→2年経過し症状固定と判断される→その間、精神障害者保健福祉手帳の更新時期を迎える(更新時期は2年に1度)→2級以上が連続で更新される→審査の対象、という順が奨学金免除の申請までの手順だ。
必ず返還期限猶予を受け数年経た後に免除申請をしなければ通らない。
返還期限猶予を申請する場合の注意点
願出の事由を、1.傷病で申請すること。
返還期限猶予の証明書一覧の「願出の事由」を、5.経済困難で申請しても、ただ返済が猶予されるだけで、免除審査対象の返還期限猶予期間に合計されないとのこと。
確実に、1.傷病で申請すること。
ただし、傷病で申請する際は医師による診断書が必要になり数千円の費用が掛かる。そして、その診断書の中に「就労困難」という文言を入れてもらわなければならない。
しかし、費用をかけ診断書を手に入れて申請したとしても、次の低い所得基準で前年生活してきたか、今後も出来るかが重要になる。
前年度の給与所得者(会社員など)は年間収入(税込)200万円以下、給与所得以外の所得を含む場合(自営業者やフリーランス)は年間所得130万円以下でなければならない。
この基準だと給与所得者(会社員など)は、毎月の手取り金額が10万円ちょっとになり、上限を意識しながら収入を得なければならない人が多数と思われる。
この手取り金額で生活しながら、精神障害者保健福祉手帳の更新できる時期を待たなければならない。
貯蓄があれば問題ないが、そもそもそんな余裕のある者は免除を申請しないだろう。
精神障害者にとっては、この厳しい条件の返還期限猶予期間を経てからの、奨学金免除申請であることを知っておいて欲しい。
返還期限猶予期間の低収入対策
給与所得者は業務委託契約(個人事業主やフリーランス)に転身し収入を得る
雇用形態(契約形態)が業務委託であれば、それだけで給与所得以外の所得を含む場合に該当する。
日本学生支援機構の提示する収入条件と所得条件だと、給与所得以外の所得を含む場合(個人事業主、自営業者、フリーランス)の方が、給与所得者(会社員など)より得だ。
転身する場合の条件
ただし、業務委託契約(個人事業主やフリーランス)であっても次の3つの条件をクリアしなければならない。
1つは、開業届と青色申告承認申請書を提出し、青色申告で確定申告を行うこと。65万円の青色申告特別控除がある。(日々のお金のやり取りを記帳しておかなければならなかったり、複式簿記の知識が必要などの難しい作業が必要になる。出来ない人は税理士へ依頼することもできる)
もう1つは、業務委託契約として、最低でも給与所得と同じぐらいの収入を得ること。
最後の1つは、個人事業主やフリーランスの業務として使うものが、自分の日常生活との関り合いに近いことだ。
例えば在宅ワークの、自分の部屋や電気、パソコン等がそれにあたり、逆に他人の車を借りて外で配達する場合などであればそれに当たらない。
個人事業主やフリーランスであれば自宅家賃、光熱費を経費として算入できるからだ。
個人事業主やフリーランスであれば、経費分を多く稼ぐことが出来る
部屋代や光熱費代を業務で使用した割合分だけを経費算入でき、この分は収入と認められないので、経費算入分を多く稼ぐ事ができるメリットがある。
給与所得者の場合この恩恵がない。
1か月手取り額の計算例
給与所得者の年間収入(税込み)200万円以下の条件では:
1か月あたりの額面収入16.67万円、所得税や社会保険料などが引かれ、手取り金額が約13万円になる。
そして13万円から、自宅家賃、光熱費などを支払わなければならない。
個人事業主やフリーランスの場合で、年間収入が200万円とする。
1か月あたり部屋代5万円、光熱費1万円、通信費1万円と仮定し、業務で使用する割合が5割と仮定すると、1か月あたり3.5万円、年間42万円を経費として算入でき、この分を多く稼ぐことが出来る。
注意点
これ以外の経費として考えるものがあれば、経費として算入できるか、出来ないかを確認すること。
多くなった年間収入額から国民年金や国民健康保険料を支払うこと。
前年の収入が多いと当年の国民健康保険料が高くなり恩恵がなくなることだ。
200万円-65万円(青色申告特別控除額)-42万円(経費算入分)=93万円
130万円(返還期限猶予期間の年間所得金額の上限額)-93万円=37万円
37万円多く稼ぐことができ、年間237万円まで広がる。
この額から国民年金、健康保険料を支払い残額が手取り金額となる。
年間の国民年金保険料19.8万円、国民健康保険料(仮定)12万円とすると合計31.8万円。
237万円-31.8万円=205.2万円
1か月の手取り金額:205.2万円÷12か月=17.1万円
給与所得(会社員など)の手取り金額、約13万円よりも得になる。
以上が、返還期限猶予期間の低収入対策になる。
この記事の内容は、筆者が日本学生支援機構に質問し得た情報であり確実性は保証できない。正確であったとしても基準が変更される場合があるので、奨学金免除申請の際は十分に注意して行ってほしい。