低PER株・低PBR株は大損しにくい
PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が高い銘柄は、会社の利益水準や純資産と比較した適正株価より、将来に対する業績向上の期待が平均以上に高く、買い過多の状態であることを示しています。
時間が経過し、多くの投資家から期待されていたほど業績が良くならないと判断されると、膨らんでいた期待はしぼんでいき株価は適正水準に戻ろうとします。
もし期待が膨らんだ状態の時に株を買っていたら、期待がしぼんでしまった場合に大きな損失を抱えてしまいます。
そういった理由で、PERやPBRが日経平均全体や類似業種の株と比較して、平均以下の銘柄を買えば大損する可能性が低くなります。
平均以下のPER・PBRを長期保有目線で
日経平均全体や類似業種内で平均以下のPER・PBR株が意味していることは、将来予想される利益から見て割安水準に株価が位置している、ということです。
このような株を長期保有すると、全投資家と同等以上の利益を上げる可能性が高くなり、相対的に大きな損失を被る可能性が低くなります。
運悪く保有株の会社の不正などの悪材料が出てしまうと、周囲の投資家と比較して大きな損失を被ってしまいますが、特段の悪材料なく平均以下のPER・PBRの水準まで落ち込むと、値ごろ感から買いが入りやすくなり株価が支えられるので大損する可能性が低くなります。
日経平均全体が下がると低PER・低PBRはもっと下がる
日経平均株価全体が下がった場合は、低PER・低PBR銘柄であっても連動してさらに株価が下落する可能性が高くなります。
経済全体が停滞して企業の利益水準が落ち込むと、企業の一株当たり利益が下がり、PERを一定とすると適正水準の株価が下がることになるからです。
PER=株価/一株当たり利益(EPS)
このような時は投資家多くが損失を被っている状態と言えます。
PERとPBRは一株当たり利益と一株当たり純資産が比較対象
東証一部全体ではPERが約15倍、PBRは約1倍が適正水準とされ、同業種企業のPER・PBRの数値は近い傾向があります。
スタンダード市場やグロース市場の新興企業のPER・PBRはプライム市場全体のPER・PBR平均より高い傾向があります。
PER(株価収益率)=株価/一株当たりの利益(EPS)
PBR(株価純資産倍率)=株価/一株当たりの純資産(BPS)で算出されます。
ここで村田製作所の指標を例にとって、PERとPBRを算出してみます。
PER 9397(株価)/423.56(EPS)=22.185 22.19倍
PBR 9397(株価)/3002.12(BPS)=3.13 3.13倍
この計算過程からわかるようにPERは一株当たりの利益が、PBRは一株当たりの純資産が根幹的な役割を担っています。
長期保有の場合は現物保有
長期保有を前提に株を買う時は、信用取引ではなく現物取引で買うことをお勧めします。
現物取引では拠出した金額以内でのみ買い付けることができます。
信用取引は拠出した金額の3.3倍まで、証券会社から買い付け資金を借りることができます。
現物取引で株を買うと保有期間中に費用は掛かりませんが、信用取引の場合は、証券会社に買い付け資金分の金利を支払い続けなければなりません。
この支払利息の精神的重荷が長期にわたってしまうと、適切な判断の阻害要因になってしまうので現物取引で買い付けることをお勧めします。
現物取引では、損失額をダイレクトに実感することになるので慎重さを忘れにくくさせますが、信用取引において取引回数を重ねていくと、次第に信用枠での損失を軽く捉えがちになっていく傾向があります。
大損してもいいと思えるくらいの余裕資金で
大損しても良いと思えるくらいの余裕資金で株を買うこと、そういった心の余裕が大切です。
勝敗は売った時に決まるので、含み損の時に売らなければ負けにはなりません。
大きい含み損の状態に陥っても余裕資金で株を買っているのであれば、売却の必要に迫られることはなく、決して負けにはならないということを認識しておきましょう。
応援したい会社の配当や株主優待目的に
応援したい会社の成長を気長に見守る、という心持ちでの投資も良い結果を生むことが多いです。
応援したい会社の株に含み損の状態が続いていたり、また損失を確定させたときには、自分がしっかりと調べた上での投資となるので、誰のせいにすることもできず損失に対して寛大になります。
また、長期間の配当や株主優待を受け取っている分を考慮すれば大損を避けることに繋がります。