証券リテール営業のキツさを分析

理不尽な叱責が多い

ノルマを達成できなかった時は納得できますが、全く理不尽なことで叱責されるということがよくあります。

管理者はさらにその上席に良い評価を受けなければなりません。

そのため部下が正当な行動をしていても、管理者の保身や昇進のために部下にダメな烙印を押させておいた方が都合がよい、という理由で犠牲になってしまうことがあります。

時には、教えを受けたことが上司によって異なっていて、その矢面に立つ場面に遭遇してしまった時に、機転を利かして身をこなしていく対処が必要になる場面があります。

ノルマの割り当てがキツい

証券会社のリテール営業では株の手数料はもちろん、その他仕組み債や投資信託、外国債券など多くの商品のノルマが課されます。

在籍年数が長くなるほど割り当てが大きくなります。さらに年々顧客は、ネット証券に移行していくので営業リソースが枯れていく中で達成をしていかなければなりません。

個人のノルマが達成されなくても、課単位、あるいは支店単位での未達は許されません。

ですので一人一人が自分の割り当てを達成していくことが社内での人間関係を保つうえで非常に重要になります。

社内での移動時も皆歩く速度が速いです。

普通の速度で歩いていてはやる気を感じないと思われてしまい、株式市場が開いている9時~15時までの間は顕著に表れます。

このように厳しいノルマ達成のために肉体的にも精神的にもとてもキツい状態になります。

割り当て商品を無理に勧めなければならない

新規公開株や募集物の割り当てが定期的に課され、この割り当てはお客様が得するのは難しいとか、手数料が高すぎる、ということがわかっていても売っていかなければなりません。

このようなときは自分の本心ではないことや、無理にこじつけた良い解釈をお客様に伝えなければならず、リテール営業の一番良心が痛む場面です。

結果的に値上がりして得する場合もありますが、無理に勧めなければならない嫌な思いは強く残ってしまうものです。

勧めた株が含み損になったとき

勧めて買ってもらった株や投資信託が値下がりしてしまって、損をさせてしまった場合には怒られることがよくあります。

怒られなかったとしても次に取引をしてもらうことが難しくなり、大事な顧客を失うこともに繋がります。

そのことが嫌でこちらから連絡を怠ると、ある日突然お客様が来店して、全ての商品を解約され全額出金されてしまう、という最悪な事態が起こることもあります。

そうならないために、勧めてが含み損になってしまい、嫌な時でも状況説明や今後の見通しを伝えるなどして連絡を取り続けることが重要です。

勧誘時や発注時、間違いは許されない

間違えた商品説明や間違えた数字を伝えて勧誘することは、「誤認勧誘」となり法令違反で罰せられてしまうので、常に最新の知識、正しい情報を伝えなければなりません。

注文を受けた後の発注作業では、株数や株価などを1円でも間違えることは許されません。

間違えた数字を業務端末に打ち込んで発注してしまうと、約定訂正となり証券事故となってしまいます。

発注時には複数人によるダブルチェックをしたのち、発注ボタンを押すなど対策をして、常に緊張感を持った状態でいなければなりません。

もし、このような間違いを犯してしまうと、上司やお客様はもちろん、あらゆる部署に報告をしなければならなくなり、始末書を書くなどその一日は処理に追われ最悪になります。

起床が早く帰宅も遅い日が連続することも

朝の起床時間は早いです。

5:45分に始まるモーニングサテライトという経済番組をチェックし、日本経済新聞も読み、前日の海外の株価などの海外動性を頭に入れます。

仕事が終わった後は、上司との付き合いでよく酒を飲みに行きます。

帰宅は24時ぐらいになることも多く、年末の忘年会や異動シーズンなどは連日で飲み会が続く場合もあります。

それでも翌日は、早朝に起床しなければならず本当にキツい瞬間です。

金融商品への理解が難しい

株の仕組み、特に信用取引による追証計算や、余力情報などをお客様にわかりやすく伝えなければなりません。この数字は全てモニターに映し出されますが、それでも仕組みや計算方法をわかっていないと仕事になりません。

投資初心者には空売りの仕組みの理解が難しいこともあり、それをわかりやすく説明する能力が必要になります。

仕組み債や投資信託など新しい商品が出てくる頻度が高く、その商品は値動きをして価値が変動するのでお客様への対応も難しくなります。

こういった点は、各々がしっかりと理解するまで勉強することが必要で、深く理解をしていると自信を持ったセールスができるようになります。

コンプライアンスが厳しい

法改正が行われると、その度に新しい正確な知識を入れていかなければならず、古い間違えた情報をお客様に伝えてしまうと、誤認勧誘で法令違反となり罰せられてしまいます。

さらに、情報漏洩に対する意識は非常に高く、お客様へのFAX送信時などことあるごとに、管理者の印が必要になります。

まとめ

証券会社でのリテール営業は、肉体的にも精神的にも本当にキツく、全業界の中でもトップレベルの大変さだと思われます。

このことが悪いということではなく、こういった環境に身を置き続けていると、数年後には大きな成長を感じるときがあります。

大変さの代わりに得るものも大きく、他人が経験しない貴重な体験が資産になると捉えれば、頑張り続ける価値は高いと思います。

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